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随想録
臨床泌尿器科編集後記Vol.71.No.13, 2017
中学校1年生の時、全校生徒の映画鑑賞会が体育館でありました。そこで観た映画『ロッキー』は、私にとって運命的な出会いでした。三流ボクサーのロッキー・バルボアの、孤独・不安・愛そして真の勝利が巧みに描かれたサクセスストーリーで、まさにアメリカンドリームを象徴する映画でした。本作は主演/脚本のシルヴェスター・スタローンを大スターにさせた一本となり、第49回アカデミー賞作品賞、第34回ゴールデングローブ賞ドラマ作品賞受賞作品です。フィラデルフィア美術館(映画では市庁舎という設定)の階段を軽快に駆け上り、両手を挙げるシーンは象徴的で、『ロッキー』を見たことがない方でもご存知ではないでしょうか?中学生の私にとっては刺激的な作品で、その後、『ロッキー2』、『ロッキー3』、『ロッキー4/ 炎の友情』、『ロッキー5/ 最後のドラマ』、『ロッキー・ザ・ファイナル』とシリーズ化され、2015年には『クリード チャンプを継ぐ男』が、シリーズのスピンオフとして公開されたのは記憶に新しいところです。
さて、先日開催された第26回日本小児泌尿器科学会総会・学術集会(会長:名古屋市立大学大学院医学研究科小児泌尿器科学分野・林祐太郎教授)において、シンポジウム「留学のすゝめー青年よ大志を抱け―」の司会をさせていただく機会をいただきました。小児泌尿器科学会で活躍されておられる、6人の先生方の自らの留学体験を拝聴させていただきました。本シンポジウムでは、若手医師に対する熱いメッセージが語られたわけですが、皆さんが共通して言われていたことは、英語や海外生活に苦労しながらも、そこでの経験が現在の臨床の糧になっているということでした。しかし、最近の若者の留学離れの時代の中で、その意義を伝えていくことはとても難しいことであると実感しています。
2008年、映画『ロッキー』を初めて見てから四半世紀後、ロッキーの生地フィラデルフィアに留学しました。住んでいたアパートからフィラデルフィア美術館まで歩いて15分くらいで、ロッキーが駆け上がった階段を上った時は鳥肌が立ちました。自分が映画のワンシーンにいるかのような錯覚に陥りました。私が考える留学の意義のひとつは、異文化に触れ人生に幅を持たせることだと思います。留学先をフィラデルフィアに決めたのは偶然だったのですが、運命的なものを感じています。そしてお馴染みの映画『ロッキー』のメインテーマ曲は、今でも私の応援歌です。