ようこそ、福島医大泌尿器科へ
随想録
臨床泌尿器科編集後記 vol.76. No 10 ,2022
去る8月6日・7日に大阪にて、日本泌尿器科学会教育ワークショップ「Sustainable Development in JUA 2022」が開催されました。全国の泌尿器科教授や学会の主要メンバーが集まり、今後の日本泌尿器科学会の方向性を議論し将来に向けた提言をする、4年に一回開催される一大イベントです。今回は、4年前に開催されたJUA Future Vision 2018の10テーマ26班から、13テーマ(医療安全、専門医制度、学術集会のあり方、関連学会との関わり、国際交流、臨床研究、基礎研究推進、医療保険制度、広報活動、ダイバーシティ、IJU、NCD、企業との関わり)33班に拡充され、タイトなスケジュールの中、コロナ禍にもかかわらず160名以上の会員が一堂に会し、熱いディスカッションが交わされました。
私が教育ワークショップに参加したのは、今回3回目になります。1回目は8年前に専門医制度について班員として参加しました。2回目の参加となった4年前のJUA Future Vision 2018では、「若手医師、研修医への広報活動のあり方」の班長にご指名いただき、アンケート調査をもとに班員とともに議論を重ね提言をまとめました。そして今回は教育委員長として進行のお手伝いをさせていただくことになりました。最後に全体の総括をさせていただいたこともあって、全班の発表をすべて拝聴し、将来に向けた学会の目指すべき方向性が個人的にも整理でき、大変勉強になりました。
全てのテーマが重要なものでしたが、今回私が特に注目したのは、「企業との関わり」です。これは今回新たに作られた野々村祝夫理事長の肝煎りのテーマです。ここ十数年の間に、学会・医局と企業との関係は大きく様変わりしました。企業から医局への寄附はほとんどなくなり、皆さんも研究費の確保に難渋していることと思います。また、研究会におけるレギュレーションは年々厳しくなるばかりで、講演会は薬剤のプロモーションが主体となり、私達が得たい医学・医療の情報からかけ離れつつあります。学会への教育助成も、対象や疾患が限られており、本来学会がすべき教育事業とは必ずしも一致しません。しかし一方で、これは時代の流れでもあります。このような現実を受け入れながら、時代に合った研究や教育のあり方を真剣に考え、学会として適切な策を講じる時期がきているのかもしれません。いずれにせよ、直面している様々な課題を解決しながら学会がさらに発展していくことを祈りつつ、2日間の日程を終え帰途につきました。4年後はどのような学会の方向性が示されるのでしょうか。