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随想録

臨床泌尿器科編集後記 vol.76. No 13 ,2022

先日日本泌尿器科学会東北地方会が、3年ぶりに完全現地開催されました。今回福島市での開催でしたが、4年前に福島市で開催した参加人数の2/3程度であったものの、コロナ禍にあっても約100人の参加者があり、活発な議論が交わされました。その翌週、日本癌治療学会と日本泌尿器腫瘍学会が、現地(神戸)とWEB併用のハイブリッド形式で開催されましたが、現地参加者があふれかえっていました。やはり現地でface-to-faceで議論をすることやコミュニケーションをとることに、私も含めて皆さん飢えていたかのように思いました。

新型コロナウイルス感染拡大によって、世の中の勤務形態が大きく様変わりし、リモートワークが普及したようです。私は、SNSに精通している若い世代のほうが、リモートワークに順応していると思っていましたが、必ずしもそうでもないようです。仕事の負荷も少なく上司に会う機会が少ないため、直接指導や叱られたことがなく、自信が持てずいわゆる「ゆるい職場」に危機感を抱いて、離職をしてしまう若者も少なくないようです。また30-50歳代は約7割が出社頻度を「増やしたくない」と回答したのに対して、意外にも20歳代の約6割が出社頻度を「増やしたい」と回答したようです(読売新聞オンライン引用)。コロナ禍、学生講義をWEBで行ってきましたが、最近対面式講義になったことに一部の学生から異議が寄せられていましたので、若者はWEB志向に偏っているものと勘違いしていました。しかし、これはもしかしたら「講義をさぼりたい」という邪念であり、多くの学生が部活動や飲み会が制限されていることに対して不満に思っていることから考えると、若者も“人の温かみ”に飢えているのかもしれません。

さて、8月に開催された日本泌尿器科学会「Sustainable Development in JUA 2022」でも、今後の学会のあり方についての議論がありました。私自身はやはり学会は現地開催を基本とすべきだと思います。一方で、専門医講習などの単位を必要とするものはWEBやオンデマンドが良いのではないかと思います。しかしふと我に返ると、「部活動や飲み会には行きたい」が「講義はさぼりたい」という学生と、根本的には同じ思考回路を持った自分がいることに気づきました。最近院内の倫理講習会、感染対策講習会やリスクマネージメント講習会がオンラインになったことは本当にありがたいと感じています。この気持ちは私だけではなく、皆さんもきっと共感してくださるのではないかと信じています。

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