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開腹手術との共通点、利点と欠点
共通点
ダヴィンチを用いた前立腺全摘除術は、基本的には、以前から行っている開腹手術をロボットの手を用いて、内視鏡下で行う手術になります。
内視鏡でかつ、立体画像で手術を行うことにより、骨盤深部に存在し、直視下では見えづらい時もある前立腺を拡大視野で行うことができるので、より安全に確実に手術を行うことができるようになりました(図8、図9、図10)。
(図8) |
膀胱と前立腺の境界を切離しています。10倍の視野で見ることで膀胱の筋肉の線維を視認することができますが、膀胱と前立腺の境界は明瞭ではありません。 |
(図9) |
尿道と前立腺の境界を切離しています。癌は前立腺の先端で露出する可能性が高いのですが、ダヴィンチを使用することで、確実な処理ができるようになりました。 |
(図10) |
膀胱と尿道を吻合しています。ロボットの手を使って吻合しています。 |
開腹手術は、臍の下を大きく切って手術をします。ダヴィンチ手術は、1cm程度の傷を6ヶ所おいて手術をします。前立腺は、尿道と膀胱でつながっており、前面には静脈の塊(静脈叢)が存在し、また、裏側には直腸が存在します(図3)。
前立腺全摘術というのは、前立腺を静脈叢と直腸から剥離し、また、膀胱と尿道を前立腺から切離して残った尿道と膀胱を縫ってくる手術になります。しかし、前立腺がんは手術中、肉眼的にどこにあるかはわかりません。
したがって、がんが前立腺の被膜ぎりぎりに存在している場合や、前立腺の被膜の外側に存在している場合は、細胞レベルでがん細胞が残ってしまう可能性があります。これは開腹手術も同じです。10倍の視野でみても前立腺癌が実際どこにあるかというところまではわかりません。
利点と欠点
長所
- 皮膚切開が小さく術後の痛みが少ないのが特徴です。
- 通常、手術後の回復は早い傾向があります。
- 出血量が少なくなります。
- 内視鏡操作で行うため拡大視野での操作が可能で、細かい手術操作ができます。
- 開腹術ではほとんど一人の医師の手術であったものが、手術に入る医師全員がモニターを見ながら手術に参加することができます。 特にダブィンチSiでは、デュアルコンソールを使用していますので、術者と全く同じ視野で手術を共有することができます。
短所
腹部の大手術の既往がある方は適応外となります。